鈴木春信 (すずきはるのぶ)
多色摺り木版画の技法の創始者。晴信は、はじめは三~四「枚の版木から版画を摺り始め、ついには版木を七~九枚にまで増やした。また、湿らせた紙に金粉や銀粉を型押しする等、様々な技法の可能性を積極的に利用した。新しく、より複雑で費用のかかる技術が導入された背景には、元旦など特別な日に少人数の好事家に私的に配られたた発行数の少ない特別な版画、「摺物(すりもの)」の流行がある。摺物のほか、晴信は暦入りの特殊な版画、即ち絵暦にもこの新しい技法を導入した。
芸術的・造形的分野においても、晴信は新機軸を重視した。彼は独自の美人の型を創りだす。懐月堂派や正信の大柄で豊満な美人に替わって、成年に達するか達さないくらいの、繊細で優雅な極みの華奢なうら若い娘たちを生み出し。安心できる親密な雰囲気が、鈴木晴信の全作品に共通する特徴である。