プーシキン美術館所蔵浮世絵コレクション(18-19世紀)

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絵師

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プロジェクト
について

落款印章

役者
役名
改印
絵師
版元
揃物
彫師

浮世絵の制作工程には、絵師、彫師、摺師など、幾人もの人が関わっており、その落款印章を画面の中にしばしば見ることができます。浮世絵では、出版者である版元の商標を表示するのが一般的でした。それに加えて、その作品が属する揃物の題名や、芸者や役者、武士など描かれた人物の名前とともに、絵師の署名が装飾的な囲みの中にしばしば表示されました。

1790年の検閲以降、日本では改印制度が始まり、それは1875年まで続きました。時を経るにつれ、検閲は厳しさを増していきました。検閲を行った人物の名前の印、そして日付印が導入され、その後、二つを組合せた改印が施行されました。この改印のおかげで、今日の研究者たちは、十九世紀に摺られた浮世絵の制作年代をすべて容易に決定することができるのです。

この作品では、画面左上隅に提灯の形をした囲みがあります。画面右上隅には、役者の名前を表示した赤い色の長方形の囲みがあり、その隣にある黄色の囲みの中には、役者が演じた役名が書かれています。

画面右下隅には、赤い装飾的な渦巻き模様の中に、絵師である三代目豊国の名前が表示されています。彼は初代国貞の名前でも有名です。

丸い改印(絵師の名前の上にある)は、版画が検閲済であることを表す漢字と、検閲を受けた年月日から成っています。絵師の署名の左には版元の印があり、絵師の名前の下には、黄色の渦巻き模様の中に下絵を板に写した彫師の印があります。